信楽焼 shigarakiyaki(甲賀市)
滋賀県の焼き物と言えば信楽焼ですね。生産地は滋賀県最南部に位置する甲賀市信楽町。彦根からは車で国道307号で90分位です。道沿いには陶器のお店がいっぱい並んでにぎやかですが、山間にはレンガ造りの煙突が残るレトロなまちです。煙突はひと昔前、陶器を焼く燃料に重油を使っていた時代の名残だということです。重油に替わるまでは薪を燃料に、山の斜面を利用した登窯が使われていました。窯元散策路を歩くと、その登窯もまだ見ることができます。窯元めぐりもできる散策路はさながら信楽の歴史を知る街角博物館のようです。
歴史を感じる登り窯↓
子ども110番も可愛いタヌキ!
足元のレリーフが洒落てます。至るところに焼き物が…
起源は奈良時代、天平十四年(七四二)聖武天皇がこの地に「紫香楽宮(しがらきのみや)」を造ろうとした時、良質な土が採れたことから宮殿の屋根瓦が作られたと伝わります。けれど、天災で造営は進まず、平城京へと再び遷都され、紫香楽宮は幻の都となってしまいます。瓦は発見されましたが、それを焼いた窯は未だに発見されていないのだといいます。信楽焼の歴史はとてもミステリアスなのです。
信楽焼と言えば、狸の置物。お店では必ず大勢で愛嬌を振りまいています。きっかけは昭和26年(1951)、天皇が来られた時、沿道にずらりと並べた狸の置物に旗を持たせて、お迎えしたところ、歌を詠まれたことだそうです。持ち物の徳利に人徳が身につくなど八つの縁起の意味を持たせたので、縁起物として広がりました。
信楽焼の特徴はまず土だそうで、成分が信楽焼独特の野趣あふれる肌と温かみのある火色を生み出します。それから自然釉(しぜんゆ)。一般に陶磁器は吸水を防ぎ、強度や装飾性を高めるために釉薬(うわぐすり)というガラス質の溶液で素地(きじ)をコーティングするんですが、信楽焼の場合は土の成分が、窯の中で炎の勢いで降りかかる灰と反応してガラス化し、釉薬を施したようになります。窯の温度や他の条件で様々に変化する、文字通りの自然釉。灰に埋まる部分が黒褐色になる「焦げ」も特徴の一つ。
4月1日~5月9日に『春の信楽 アートな歩き方』と題して、様々なギャラリーやクラフトショップが企画展やイベントを行っています。待ち遠しい春が来たら出かけてみたいですね。日々の暮らしが楽しくなる作品と出会いに…。ホームページがありました。
http://art.shigaraki-sp.com/